人気ブログランキング | 話題のタグを見る

清純なオサーンの、チンケで退屈極まる旅行記

by wan_chai
 
コロニアルなチャイナ(8/13)@ジャカルタ
ムスリム国を歩く時、時計はあまり必要ではない。
勿論、仕事の約束がある場合はその限りでないが・・・。

近代的なショッピングセンターから踏切を越え
土色をした硫黄臭の川を渡ると街の空気が一変する。

子供の駆け回る声、2サイクルエンジン特有の乾いた音
火を起こしている音、犬やら鶏やらの声。
さまざまな生活音で溢れかえっている。
コロニアルなチャイナ(8/13)@ジャカルタ_a0023740_1029692.jpg

路地から飛び出して来る子供を両手で受け止めて辺りを見回す。
近代的なSCやデパートには見るべき物も無く、かなり落胆させられたが
なかなかどうして、インドネシア 面白い。

薄暗い路地の奥に意味不明な矢印を認めてフラフラと誘い込まれてみる。
コロニアルなチャイナ(8/13)@ジャカルタ_a0023740_1033513.jpg

真っ暗な中を歩いていると、突然頭上からのこぎりが飛び出して来た。
驚いて飛び退ると古材特有の乾いた匂いと共に
目と口におが屑が飛び込んできた。

渡り廊下の床を切っているらしい。

何だかとんでもないもんが口に入った気がして
吐き出すべく、先の明るくなった所まで早足で向かった。

・・・又も川だ。

口の中のおが屑だか、家の埃だかわからない代物をペッペッと吐き出していたら
夕闇迫る町中に大音声が響き渡った。

アッラ~フ アクバ~ル

アザーンだ。
ムスリム国ではこれが朝・昼・晩と流れるので一日のリズムが自然に出来てくるのである。
廃墟が密集している様な地域の中に
こんなにも沢山のモスクがあったのかと驚くほど、そこかしこから聞こえてくる。

思えば、最初にアザーンを聞いたのは16年前のシンガポールだった。

徐々に暗闇が支配する中、カメラを鞄の中に入れて歩き続ける。
生気のない老人のどんよりした眼差しが泳いでいる。
何しろ街灯も満足に無いので、この時間になると家から漏れる蛍光灯の明かりが頼りだが
この中にいるだけで何とも言えない落ち着きを覚える。
一時間も経とうと言う頃、ようやくこの広大で楽しい下町エリアから脱出できた。
そろそろ待ち合わせの時間である。



やっと出た道はマンガドゥアからかなり離れている様だ。
しかも道路は軽く冠水している。

ちょうどバジャイが見えたので手を突き出して呼び寄せる。
バジャイは殆どがインド製のオートリクシャーを輸入した物で
アジアで良く見る、安いオート三輪のタクシーである。

軽く膝下まである水を避けて車内に乗り込み、マンガドゥアスクエアと告げると
運転手は軽くうなずき、情けないエンジン音を上げて道路を逆走し始めた。

びくとも動かない渋滞を尻目にマンガドゥアスクエアに着いた。

中華医院の待合室に設置された大型テレビで
女子柔道で上野選手が金メダルを獲った映像を見ているとピックアップの車が来た。
向かった先は

CAFE BATAVIA
コロニアルなチャイナ(8/13)@ジャカルタ_a0023740_10525760.jpg

あからさまなコロニアルスタイルの建物である。
コロニアルなチャイナ(8/13)@ジャカルタ_a0023740_10535660.jpg

オランダ統治の時代からある由緒正しい建物らしい。
コロニアルなチャイナ(8/13)@ジャカルタ_a0023740_10555684.jpg

センスの良さは大したものだが、何だろう?このケツの座りの悪さは・・・
コロニアルなチャイナ(8/13)@ジャカルタ_a0023740_10563194.jpg

恭しく引かれた赤い羅紗張りの椅子に座ると
黒服の給仕が慇懃に飲み物を尋ねる。
テーブルを見回すと誰もアルコールを飲んでいない。
イスラム国にいる恩恵に深く感謝してフルーツジュースを頼んだ。

「あなたは日本人なのにお酒を召し上がらないのですか?」

相当な驚きをもって迎えられた。
よほど酒好きな国民と思われている様だ。

「ここは日本人の方達をいつもお招きするのですが
 皆さん、大変喜んで下さいます。」


そうだろう。
値段も冷菜で一皿5USD~と、目玉が50cm程飛び出る価格帯だ。
そもそも、この料理は・・・

「当店のシェフは大変有名な中華のシェフを呼び寄せております。
 お奨めの料理は・・・」


いつの間にか脇に立っていた黒服がメニューブックの1ページを見せるのを
一瞥すると、注文は全て任せますと伝えた。

コロニアルなチャイナ(8/13)@ジャカルタ_a0023740_112589.jpg


帰り際、ご馳走になった御礼を言うと、店の人間から味について尋ねられた。

「大変 美味しい中華料理でした。ありがとうございます。」

「えぇ、いつもここが良いとリクエストして下さる日本人のゲストもいらっしゃるんです。」


ちょっと顎を上げて満面の笑みでドアを開けてくれた。
この顔、日系エアラインに乗るとよく見るな・・・。

ホテルの前で車から下ろして貰うと
ちょっと夜風に当たりたかったので周囲をブラブラと歩き回った。

炭に落ちた羊肉の匂いとスパイス、それにゴミの匂いが混ざった濃密な空間である。
時計を見ると21時。
まだ少し早いが寝ることにしよう。
時差も残っている上に早起きしたのでかなり眠い。
by wan_chai | 2008-08-22 11:25 | 食べ物
<< インドネシア語(8/14)@ジ... 誰そ彼(8/13)@ジャカルタ >>


S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
タグ
ブログパーツ
最新のトラックバック
以前の記事
2020年 02月
2014年 09月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2004年 09月
2004年 08月
2004年 07月
2004年 06月
2004年 05月
検索
MENU
ライフログ
カテゴリ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
関連リンク