ここはどこなんだろう?
通常、ホテルは現地に行って自分の目で探す事が多いが
自分で選ばないホテルにいきなり行くと言うのはなかなか刺激的な経験である。
何しろ、どこにあって何があるのか皆目わからない。
右も左もわからないまま
ホテル前まで車で連れられてチェックインして部屋に入る。
妙な浮遊感だ。
移動の手配や宿探しと言う旅行の中心的なプロセスを全部端折っているので
ミンダナオの都市にいるという現実感に乏しい。
ましてカガヤンデオロに関しては地図さえも無い。
目隠しされて、知らない街に放り出されたような寂寞感である。
先ほどの雨に濡れた窓の外を暫し見つめる。
こういう感覚は楽しいものだ。
このホテルは
ダイナスティ・コートホテル(Dynasty Court Hotel)
と言うらしい。
市街から離れているのか
はたまた、ここが市街なのか・・・
部屋は典型的な経済的ホテルの内装である。
少し広いのは、デラックスツインだからだと後で聞かされた。
バスルームもまぁ、普通である。
さて、荷物を解いて食事に向かおう。
石造りのロビーの床は結露して、つるつる滑る。
ロビーのガラス戸を恭しくドアマンが開けると
熱帯の雨上がり特有のべとついた空気が身体を包み込んだ。